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宇部市の特徴

宇部市（うべし）は、山口県西部に位置する都市で、人口162,570人で県内三番目に多く、面積は286.65km²で県内八番目の広さです。かつて海底炭鉱で栄えた「炭都」としての歴史と、それを受け継いだ重化学工業、そして豊かなアートと緑が融合した独特な特徴を持っています。市内には山口宇部空港があり、東京羽田や沖縄への航路を持つ山口県の空の玄関口です。

宇部市の魅力①炭都（たんと）の歴史

宇部市は、日本の近代化の流れの中で、石炭産業を基盤に急速に発展した「炭都（たんと）」としての歴史が最大の特徴です。この産業の歴史が、現在の工業都市としての姿や、環境・アートを重視する都市文化を形成しました。

主要な歴史の流れは以下の通りです。

 

1. 江戸時代・明治初期：農業と用水の時代

 

• 常盤湖（ときわこ）の築造（1698年）: 現在のときわ公園の中心である常盤湖は、もともとは農業用の溜池として築造されました。この常盤湖は、後に工業用水としても利用され、2016年に世界かんがい施設遺産に登録されています。

• 宿場町・船木: 現在の宇部市域のうち、内陸部の船木（旧楠町域）は、江戸時代の山陽道の宿場町として栄えていました。

 

2. 明治中期～昭和初期：炭都としての勃興

 

• 宇部炭田の発展: 宇部地域には豊富な石炭が埋蔵されていました。

• 渡辺祐策（わたなべ すけさく/ゆうさく）の登場（1897年）:

  • 宇部炭鉱の歴史は古いですが、本格的な発展の礎を築いたのが実業家・渡辺祐策です。彼は1897年（明治30年）に沖ノ山炭鉱組合を設立し、海底採掘を企業化することで成功を収めました。

  • 彼は「共存同栄」の精神を掲げ、採掘した石炭をセメントや化学肥料（硫酸アンモニウムなど）の原料として利用する多角化を図り、これが現在のUBE（旧 宇部興産）をはじめとする重化学コンビナートの原型となりました。

• 市制施行（1921年）: 炭鉱を中心とした工業の発展により、1921年（大正10年）に宇部村が市制を施行し、宇部市が誕生しました。

 

3. 戦中・戦後：公害の克服と近代化

 

• 戦災からの復興: 宇部市は工業地帯であったため、第二次世界大戦末期に空襲による被害を受けました。

• 公害問題と「花いっぱい運動」: 炭鉱や工場が集中したことで、戦後は深刻な公害問題（特に煤煙）が発生しました。これに対し、企業と市民が一体となって、「花いっぱい運動」などの緑化運動を展開し、環境改善に取り組み、公害を克服した歴史を持ちます。

• 炭鉱の閉山: エネルギー革命の波により、1967年（昭和42年）に最後の炭鉱が閉山し、宇部炭田の歴史に幕を閉じました。

• ときわ公園の発展: 渡辺祐策の寄付を受けて1925年（大正14年）に開園したときわ公園は、炭鉱閉山後、公害克服のシンボルとして、緑とアート（UBEビエンナーレ）をテーマとする総合公園として整備・発展しました。

 

4. 現代

 

• 山口宇部空港の開港（1966年）: 県の空の玄関口として開港し、交通の要衝としての地位を確立しました。

• 楠町との合併（2004年）: 2004年（平成16年）に厚狭郡楠町（旧船木宿などを中心とする町）を編入し、現在の市域となりました。

宇部市の魅力②瀬戸内海が育む食文化とレジャー

宇部市は、工業都市としての歴史的背景と、瀬戸内海に面した立地から、働く人々の活力を支える独自のご当地グルメと、穏やかな海が育む海の幸が特徴的な食文化を持っています。

 

1. 宇部ラーメン（ご当地ソウルフード）

宇部市の食文化を語る上で欠かせないのが、全国的にも個性的なご当地ラーメンである「宇部ラーメン」です。

• スープの特徴: 濃厚で茶色く濁った豚骨スープが特徴です。じっくりと豚骨を煮込み、老舗では「呼び戻し」と呼ばれる継ぎ足し製法を用いることもあり、その過程で独特の強い豚骨臭が生まれます。

• 表現：「くさうま」: その独特な風味から、地元では「くさうま（くさいけどうまい）」と表現され、熱狂的なファンを持ちます。

• 麺と具材: 麺は福岡の博多ラーメンなどに比べると、やや中太で柔らかめに仕上げる店が多いです。これは、かつて炭鉱や工場で働く労働者が短時間でエネルギーを補給できるよう、すぐに出てすぐに食べやすいように工夫された名残とも言われています。

 

2. 瀬戸内の海の幸

宇部市は瀬戸内海に面しており、穏やかな海域で獲れる魚介類も食卓を彩ります。

• 魚介の活き造り: 瀬戸内海で獲れる新鮮な魚介類は、市内の料亭などで活きの良い状態で提供されます。

• マテ貝掘り: 宇部市南部のキワ・ラ・ビーチ（岐波海岸）は、広大な遠浅の干潟で知られ、春の潮干狩りシーズンにはマテ貝掘りを楽しむ人々で賑わいます。マテ貝は地元の食卓にも上ります。

 

3. 歴史と地酒

 宇部市には古くから酒造りが行われており、地元の気候と水で仕込まれた日本酒が、海の幸や山菜料理を引き立てます。

宇部市の食文化は、単に「美味しい」だけでなく、炭都の歴史と、市民の生活の活力を支えてきた歴史が詰まった、非常に個性豊かなものと言えます。

 

宇部市のレジャー・観光スポットは、市の歴史的背景とも関わる「アートと緑の公園」を中心に、瀬戸内海の豊かな自然を楽しむスポット、そしてゴルフなどのアクティビティが充実しています。

主要なレジャースポットは以下の通りです。

 

1. ときわ公園（常盤公園）

 

宇部市のシンボル的な存在で、「緑と彫刻と湖と」をテーマにした総合公園です。

• ときわ湖: 1698年に築造された農業用ため池で、現在は園内の中心となる湖です。2016年に世界かんがい施設遺産に登録されています。

• アートと彫刻: 現代彫刻の国際展である「UBEビエンナーレ（現代日本彫刻展）」の開催地であり、湖畔には受賞作品が常設展示されています。

• 施設: 動物園、植物館（世界を旅する植物館）、遊園地、石炭記念館（炭都の歴史を伝える日本初の施設）など、多様な施設が一つの広大な敷地内に集まっています。

 

2. キワ・ラ・ビーチ（岐波海水浴場）

 

瀬戸内海に面した遠浅の海岸で、地中海のリゾートをイメージして整備された通年型レジャー施設です。

• 絶景スポット: 潮が引いた後の広大な砂洲や潮溜まりが、風のない日には空や夕日を鏡のように映し出し、**「日本のウユニ塩湖」**としてSNS映えする絶景スポットとして人気です。

• アクティビティ: 夏は海水浴場として、春はマテ貝掘りの潮干狩り場として賑わいます。また、キャンプやバーベキューも通年可能です。

• アクセス: JR宇部線 岐波駅から徒歩約10分とアクセスも便利です。

 

3. 宇部72カントリークラブ

 

西日本最大級のゴルフ場として知られています。

• 規模: **4つのコース（72ホール）**を擁する巨大なゴルフ場で、「宇部興産オープン」など数多くの権威あるプロゴルフの大会の舞台となってきました。

• 特徴: それぞれ異なる特徴を持つ林間コースや湖畔コースがあり、初心者から上級者まで楽しめます。

 

4. 山口宇部空港周辺

 

山口県の空の玄関口でありながら、レジャースポットとしても利用されています。

• ふれあい公園: 空港の東側にあり、飛行機の離着陸を間近に見られる遊歩道などが整備され、市民の憩いの場となっています。

• バラ園: 空港ターミナル周辺にはバラを中心とした植栽があり、見頃の時期には美しい景観を楽しめます。

宇部市の魅力③暮らしやすさ

宇部市は、工業都市としての利便性と、豊かな自然・緑が共存しているため、比較的暮らしやすいと評価されています。特に、医療体制や子育て支援策に力を入れている点が特徴です。

宇部市の暮らしやすさに関する主なポイントは以下の通りです。

 

1. 交通とアクセスの利便性

 

• 空の玄関口: 山口宇部空港があり、東京（羽田）などへのアクセスが良好です。出張や旅行の利便性は高いと言えます。

• 鉄道: JR山陽本線や宇部線が通り、県内主要都市や福岡方面へのアクセスが可能です。

• 車社会: 地方都市の例に漏れず、市内の移動は基本的に車中心です。生活道路や店舗の駐車場の整備が進んでいるため、車を持っていれば日常生活の利便性は高いですが、駅前などは車利用が前提の構造になっている側面もあります。

 

2. 医療・福祉体制

 

• 医療の充実: 市内には大学病院である山口大学医学部附属病院があり、高度な医療体制が整っています。妊娠・出産時の緊急時対応など、医療面での安心感は大きなメリットです。

• 高齢者・子育て支援: 公共交通機関が発達していない地域もあるため、高齢者や子育て世帯向けのサポートサービス（例：子育て支援センター、病児病後児保育など）の充実に努めています。

 

3. 子育て・教育環境

 

• 子育て支援策:

  • 医療費無料化: 高校生年代まで医療費が無料です。

  • バス無料乗車証: 小中学生を対象にバス無料乗車証が交付されています（通学や市内移動の負担軽減）。

  • 移住支援: 県外からの移住者を対象に、住宅購入や賃貸住宅の家賃補助、子育て支援助成金（最大100万円など、条件による）を設けており、若者や子育て世帯の誘致に積極的です。

• 豊かな自然環境: ときわ公園という広大な敷地を持つ総合公園があり、動物園、植物館、遊園地、緑地など、子どもが自然に触れながら安全に遊べる環境が整っています。

• 彫刻教育: 「彫刻のまち」として、アートを通じた教育にも力を入れています。

 

4. 住環境とコスト

 

• 自然環境: 海（キワ・ラ・ビーチなど）と湖（常盤湖）、そして緑が多い都市であり、自然の豊かさを享受できます。

• 生活コスト: 都市圏に比べて家賃や生活費が抑えられる傾向にあります。

• 買い物: 深夜まで営業するスーパーやホームセンターなどもあり、買い物環境は整っています。

 

5. 課題となり得る点

 

• 湿気: 海が近いため、特に梅雨時などは「湿気やすい」と感じる住民の意見もあります。

• 車依存: 車がないと不便を感じる場面が多く、公共交通機関のみでの生活は難しい可能性があります。

総じて、宇部市は、地方都市としては珍しく空港というハブを持ち、大学病院という高い医療レベルを備えながら、自然とアート、そして手厚い子育て支援策をバランス良く提供しているため、特に子育て世帯やUIJターンを考えている若者にとって、住みやすく安心感のある都市と言えます。

宇部市の対応エリア

沖宇部 / 亀浦 / 則貞 / 草江 / 五十目山町 / 岬町 / 八王子町 / 明神町 / 東見初町昭和町 / 幸町 / 明治町 / 末広町 / 笹山町 / 東芝中町 / 錦町 / 東新川町恩田町 / 野原 / 野中 / 松山町 / 港町 / 東本町 / 新天町海南町 / 朝日町 / 松島町 / 相生町 / 新町 / 中央町上町 / 助田町 / 居能町 / 文京町 / 藤曲若松町 / 鵜の島町 / 南浜町 / 鍋倉町 / 浜町小串 / 東小串 / 宮地町 / 中村 / 中尾 / 川添北小羽山町 / 南小羽山町 / 上宇部 / 上野中町 / 川上北迫新町上条 / 南中山町 / 松崎町 / 岩鼻町芦河内 / 今富 / 小野 / 櫟原棚井 / 吉見 / 末信 / 広瀬 / 沖ノ旦 / 厚南北 / 荒瀬